【自動運転】モビリティ2.0|オールジャパンをやめよ。
おはようございます、こんにちは、こんばんは。 知ったかの森チャンネル情報局より、本のご紹介を差し上げます。
- 日本はモビリティーの競争に遅れているから、追いつくために、オールジャパンをやめよ。
- author: 深尾三四朗
- audience: 「モビリティ社会に携わるすべての人々」
- terms:
- point of view:
- call to action:
- 引用
- 編集後記
日本はモビリティーの競争に遅れているから、追いつくために、オールジャパンをやめよ。
これが、本書のメッセージです。どう言った根拠で「遅れている」のか、そしてどんなことをすれば良いのか、について著者の提案を本ページにまとめています。
author: 深尾三四朗
Name: Sanshiro Fukao
浜銀総合研究所調査部産業調査グループ主任研究員
1981年生まれ。経団連奨学生として麻布高校から英ユナイテッド・ワールド・カレッジ(UWC)に留学。2003年英ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)を卒業。野村證券金融研究所、英HSBC(自動車部品アナリスト)を経て、米国及び香港のヘッジファンドで日本・韓国・台湾株のシニアアナリスト。機関投資家としてスマートフォン、液晶テレビ、太陽電池の進化を目の当たりにした。2014年に浜銀総合研究所に入社。国内外で自動車産業とイノベーションに関する講演、企業マネジメント向けセミナーを多数行う。
目黒区生まれ。
日本以外の、海外経験が豊富な著者さんのようです。2020年で39歳になる年代。 英国での留学経験とビジネス経験があるようで、日本の状況を俯瞰してみることができる人なのかと思いました。マーケティング、財務よりの経験や知識が多い人のようです。
audience: 「モビリティ社会に携わるすべての人々」
本書で触れられているように「モビリティ社会に携わるすべての人々」を対象に情報をまとめました。 とはいえ、それって全人類じゃん、とも言えるので、ここではもう少し絞ってみます。
terms:
用語の定義をまとめます。いくつかは、別のページに解説ページを用意しています。
モビリティ2.0
「都市のデータを資源とするエコシステムの重要な媒体」
モビリティ1.0は「内燃機関(エンジン)によって走る車が自動車が人やモノを運んでいたこれまで」のこと
インダストリー4.0とか、マーケティング3.0とか、OSのバージョンアップのような例えをした言葉は近頃増えてきた印象です。本書でもその1つとしてモビリティーの進化バージョンが定義されています。
ミレニアル世代
「2000年代初頭に成人する世代を表す。本書では1980年代と1990年代に生まれた世代とする」
こちらにもうちょい詳しい解説を載せています。
「世界から出遅れる」
本書では、日本の技術やビジネスが「世界から出遅れてしまっている」という趣旨の表現が使用されています。 この表現を、編集部なりに、このように解釈しました。
- 日本の数値が外国の数値と比較して、定量的に小さいこと。
- 日本での実績が、外国と比較して、少ないこと。
1については、例えば、中国政府からの投資額が5000億円相当で、日本政府からの投資額が500億円だとした場合に、”日本政府の投資は中国政府に比べて出遅れている”という表現をする場合です。
2については、例えば、アメリカは公道でレベル5の実験をしたことがあるけど、日本はしたことがない場合に、””日本の自動運転は、アメリカに比べて出遅れている。”という表現をする場合です。
※これらの2つはあくまでも例で、本書の内容とは関係ありません。
ここで、言葉の定義を明確にした理由は、事実と解釈を分けたかったからです。なんとなく日本は遅れている感じがする、だとそう感じた人の解釈になってしまいますので、情報の正確性としては、イマイチだと思います。
海外と外国の違い
「海外」は英語だとoverseas
「外国」は英語でforeign countries
日本の場合は基本的に海外=外国ですね。日本と意味合いが異なる場合として、欧州の場合は海外≠外国。 こうして言葉の定義を厳密にみてみると、沖縄は東京からみて外国なのか、、となってきますが、日本の領土領空領海の外だと理解するのが良いと思います。
point of view:
本書の中で、抜粋してお伝えしたいポイントは2つ。
日本はモビリティの競争に遅れている。
本書でいくつか紹介されている、「日本は出遅れている」というメインメッセージ。この主張について、論拠を取り上げてみます。
論拠1:トヨタの自動運転車の公道実験がGMなどより遅れているから。
自動運転領域におけるライバルをみてみると、米グーグルの持株会社であるアルファベット傘下のウェイモや、自動運転AIのソフトウェア会社であるクルーズ・オートメーション(CruiseAutomation)を買収した米GMに、米国カリフォルニア州での自動運転車の公道実証実験の実績で大きく水をあけられている
簡単に言うと、外国の企業ができていることが、日本の企業(ここではトヨタ自動車)ができていないよね、と言う主張ですね。
論拠2:リチウムイオン電池の「世界トップ」がパナソニックではなくCATL(中国企業)になったから
世界トップに躍り出たCATLと、追い上げに必死な業界3位のBYDに挟まれ、パナソニックは今まで以上に熾烈な競争にさらされることになる。
厳密には、主張と論拠が対の関係になっていないのですが、最適な箇所がココだと思ったので、ココをピックアップしました。パナソニックは依然として世界2位のようですが、一位と三位にそれぞれCATLとBYDがいる状況を論拠に「日本は出遅れている」と主張しております。
2017年車載用リチウムイオン電池出荷数量ランキング(単位はGWh) 1位 CATL(Contemporary Amperex Technology Co., Ltd.、寧徳時代新能源科技) 2位 パナソニック 3位 BYD
ちなみに、CATLの”Amperex”はググっても正確な意味が出てきませんでした。企業名の中国語と照らし合わせると、”新能源”に当たります。英語で説明するなら、new capability of sourceといったところが正しそうです。
オールジャパンをやめて、これからすべきこと
- アジアから若き人材を呼び込む
- 「海外にも輸出可能なソリューション」を作ろう
アジアから若き人材を呼び込む
デジタル社会で育った「デジタル・ネイティヴ」であり、世界経済の主役となったミレニアル世代を中心に、若者の頭脳と活力を取り入れることが、イノベーション創出には不可欠なのだ。
日本は、少子高齢化をすでに迎えていて、なかなかミレニアル世代のマンパワーに頼るのは難しそうですよね。なので外国、とくに近場でたくさんミレニアル世代がいるアジアから人を呼んじゃおうぜ、って考えなわけです。
「海外にも輸出可能なソリューション」を作ろう
交通弱者へのラストマイルソリューションは輸出商材に
本書でも登場した海外のモビリティのフロントランナーたちに、日本のモビリティ社会に参加する上で魅力的に感じるテーマ・コンテンツは何かという質問をした。最も多く挙がるのが、高齢化社会である。高齢化社会へのラストマイルソリューションは、世界に誇れるキラーコンテンツであり、これから海外が求める日本の有力な「輸出商材」となるからだ。
スイスは、 2016年から公共交通機関で自動運転で公道実験をしているらしいよ。。。しかも、スイス郵政公社が主導しているらしい。郵便局は、手紙などの郵便物だけじゃなくて、ヒトを運ぶようになったというのは、まさしくモビリティー・アズ・ア・サービスですねぇ〜
call to action:
本書の内容を受けて、どんな行動をすべきか、考えてみる。
身近にポリシーメーカーがいたら、オールジャパンやめようぜ!って言ってあげる。
確かに、オールジャパンにすることが目的なんじゃなくて、 日本の経済が成長することとか、 ひいては世界の一部としての日本の経済が成長することで、 みんなハッピーだよね、と言う視点が大事なのかな、と思います。
日本が勝つとか負けるとか言う次元ではなく、 世界のみんながハッピーになるためにはどうしたら良いか? 巡り巡ってどうしたら日本が幸せになれるか、 という視点の方が、編集長は好きです。
モビリティ2.0関連の仕事を探す。
タクシーやトラックドライバーなどの仕事が減りそうなのに対して、CASE関連などは、求人が伸びるのではないかと思います。実際に、編集長も自動車関連の求人に飛び乗ることができました。
引用
深尾三四郎. モビリティ2.0 「スマホ化する自動車」の未来を読み解く (Japanese Edition) Kindle Edition. 」 https://amzn.to/3bqZL9Y
編集後記
本書を読んだ感想
CASE、MaaS、TaaSなどのモビリティー関連用語の解説などもあり、辞書感覚で使うのにも役立つ本。
また、著者の得意分野と言うこともあってか、 規模の不経済 などに関する経済用語の解説がわかりやすい。 編集長は規模の経済は知ってたけど、規模の不経済は知りませんでした。 と思ったら、収穫逓減の原理の方はちゃんと知っていましたYO。 純粋持株会社制についての説明もありました。
shittaka-channel.hatenablog.com
この本の世間の評価
本書は、2020年5月12日時点で、Amazonさんのレビューは12個ついていますが、そのうち評価5が45%、評価3は0%、評価2が19%です。 これが意味するところは、わかりやすいと思った人、良書だと思った人がいる一方で、「修士論文の力作」と揶揄する評価もあるほど、良書ではないと判断する人がいるということだと思います。 編集長も、本書を読んだ正直な感想といたしましては、主張と論拠の一致をとるのが難しかった、というのが正直なところです。
ただ、目的を情報収集と定めれば、情報量は申し分ない著書だと思いました。
本チャンネルについて
このチャンネルでは、本の紹介から、だんだんとテクノロジー系著書やテクノロジー系のキーワードの解説に移っていこうと思っています。 ビジネス本の解説であれば、他のチャンネルにもたくさんわかりやすい動画があるからです。 しかし、いきなり大きく変化させるのではなく、本の紹介という軸は残しつつ技術に詳しくない人でもわかりやすい内容を作ることを目指すつもりです。 何事も、軸を作ることは重要だと思いますので。このチャンネルの軸は「内では知ったかぶりせず」「外ではうまく知ったかぶりする」ということなのです。 それに付随して、本の著者の略歴をもっと詳しく説明するとか、自分の転職経験と転職に関係する本を紹介するなど、少しずつ領域を広げていきたいなと思います。 視聴回数よりも何よりも、自分にとって役立つ情報集約であり、楽しいことが重要だと肝に命じて、これからも続けていきたいと思います。どうぞ、応援よろしくお願いします。
author: 知ったかの森チャンネル編集長